全てのブロガーのライバル、大石浩二

いぬまるだしっ
少年ジャンプ+より

大石浩二。その名を耳にしたことがある人は少なくないだろう。

……みたいな出だしで書き始めればそれっぽくてカッコイイ感じの記事になるのだが、まぁちょっと無理がある。事実、私自身もこの名前を耳にしたことはなかったワケだし。しかし、彼の代表作の名なら、耳にしたことのある人は少なくないハズだ。そのタイトルは「いぬまるだしっ」(以下、いぬまる)である。

[第1話]いぬまるだしっ - 大石浩二 | 少年ジャンプ+

https://shonenjumpplus.com/episode/10833519556325021921

私は今年で齢24になるが、同年代の方で聞き覚えがあるという方はいることだろう。ジャンプにて掲載されていたギャグマンガだ。私は今も昔も週刊少年ジャンプの読者ではなく、友達に借りたり立ち読みなどばかりで、金を払って読んだ事は無かった。そんな私でも聞いたことのあるタイトル。かなりメジャーな作品と言える。ジャンバン!でもアニメやってたし。そのいぬまるの作者が現在ジャンプ+で連載をしている。タイトルは「トマトイプーのリコピン」。

トマトイプーのリコピン
少年ジャンプ+より

今回はそのリコピンについて語りたい。

 あらかじめ断っておくと、私はジャンプ+の読者ではない。なので今回読んだリコピンも偶然読んだだけだ。故に設定やキャラについては詳しく知らないしよく分からない。しかし、この作品の面白さはそういった所とは別の部分にある。本作はトイプードル的なマスコット的なクリーチャー「リコピン」が繰り広げるチャーミングでハートウォーミングで燃え尽きるほどヒート!!な物語だ。そこに結構な頻度で時事ネタを切るような描写が挟まれ、中々毒がある。感覚としてはマイメロディなどのサンリオアニメに近い雰囲気をまとう作品だ。で、今回取り上げるのは+70話(ジャンプ+に移籍してから70話目の意)である。

[+70話]トマトイプーのリコピン - 大石浩二 | 少年ジャンプ+

[+70話]トマトイプーのリコピン - 大石浩二 | 少年ジャンプ+ (shonenjumpplus.com)

 今回は世の中のウザいと感じることを擬人化(もとい、女体化)した架空のソシャゲ「ウザ娘」というネタで世のあるあるを切っているのだが……。

※執筆日(2022/03/14)現在、この回は無料公開中なので、読める方にはぜひ読んでいただきたい。一応読めるだけの猶予をもうけておく。

[+70話]トマトイプーのリコピン - 大石浩二 | 少年ジャンプ+

[+70話]トマトイプーのリコピン - 大石浩二 | 少年ジャンプ+ (shonenjumpplus.com)

どうだろうか。おそらくガラスの仮面を最新刊まで読破出来るくらいの時間は挟んだので十分かと思う。では、早速本題へ移ろう。

 私はひとめでこの回を取り上げなければならないと感じた。なぜか。

ブロガーネタを

取り上げていたからだ。

それも2つ。

これにはポジティブな感情とネガティブな感情の両方が湧いた。

 ポジティブな方は「よく言った!」というものだ。私も過去に公言しているとおり、この手のブログは好まない。というか嫌いだ。書いている人間に私の鼻くそを腹一杯喰わせてやりたい程度には嫌いだ。しかし、それは私のように実名を隠し、何の社会的責任も負わず、1日80pv程度の閲覧数しかないブログでコソコソと「害悪ブログはんた~い……(小声)」とつぶやくのとはワケが違う。天下のジャンプ+で、顔や名前を晒し、時に下半身を向きだしにしながら「害悪ブログってこう言うことしがちっすよね~w」と叫んでいる。素晴らしいクリエイター根性だと素直に思う。手塚治虫は「マンガに必要なのは風刺だ」と語っていた。大石浩二の姿勢は正しくその言葉を体現しているように感じる。社会に対して大きな問いかけを投げかけうるのはいつだって道化だ。政治家や評論家がワイドショーで何かを喋っても、人々の心へと完全には届かない。それがどんなに真摯なメッセージだったとしても、やはりどこかしらで鼻につく形になってしまう。それを回避できるのが、みんなに笑われるピエロであり、マスコット的な生き物だ。人々は笑いながら耳を貸し、時には「いや、でもアイツの言うことも中々的を射ているよな……」なんて思わせる事ができる。大石浩二は現代のピエロになろうとしている。そんな風に感じられる。

 一方でこれに対してネガティブな思いもある。それは「俺がやりたかったのに!」だ。私もブロガー界隈の底辺の端っこのアリーナ席に属するとはいえ、ブロガーの端くれ。ブログに対しては一家訓ある。本来こう言った話題は、我々ブロガーが自らの手で始末をつけなくてはならない問題のハズだ。私もこのネタをもっと踏み込んだ形で消費したかったのだが、先を越されてしまった感がある。

 無論、相手はプロの表現者だ。アマチュアで素人に毛が生えた程度の私では太刀打ちできないのも無理はない。無理はないのだが、やはり口惜しさも感じてしまう。勝つことは出来ずとも、せめて食らいついて行くくらいの気概は示したい。よりよいモノを世の中に残していきたいと強く思った。うんこちんちん。