嫌な仕事に行くとき音楽を聴くな【汎化と学習】

「出勤時に音楽を聴いてやる気を出そう!」とか、「朝起きるのが辛いから音楽で目を覚まそう!」みたいなことをしている人は多いと思います。

今回は、「そういうことはやめた方が良いのではないでしょうか?」というお話をしていきます。

目次

嫌なときに気分を盛り上げてくれる音楽

出勤時に音楽を聴くと起こること

学習・汎化 アルバート坊や

嫌なときに気分を盛り上げてくれる音楽

音楽とは本当に素晴らしいモノです。

聴いているだけで気分が左右されます。

楽しい気持ちにさせてくれたり、悲しい気持ちにさせてくれたり、感情を揺り動かすそれは、まさしく「感動」というものでしょう。

出勤時に音楽を聴くと起こること

嫌な気持ちを和らげてくれるからこそ、嫌なことをしている瞬間(出勤や起床など……嫌じゃない人もいるとは思いますが)にも、音楽を聴く人は多いでしょう。

特にこの曲が好きだ、という思い入れがあれば同じ曲をリピートで何度も聴いたりするかも知れません。

しかし、それを続けているとよくないことが起こります。

その音楽を嫌いになってしまう可能性があるのです。

※仕事が嫌いな人を対象とした言葉です。仕事が好きだし、出勤も苦じゃないという方には当てはまりませんので、ご安心を。

学習・汎化 アルバート坊や

アルバート坊や」という言葉をご存じでしょうか?

これは、かつて行われた実験を指す言葉です。

アルバート坊やというのは、その実験の被験者である赤ん坊の名前です。

ちなみに今の心理学界では被験者という言い方は使いません。実験参加者と呼びます。しかし、当時赤ん坊だったアルバート坊やに、参加するかしないかを選べたわけはないので、完全なる被験者でしょう。)

やったことは単純です。

  1. アルバートの前に白ネズミを置く。
  2. アルバートが白ネズミに触れようとした瞬間に金属をハンマーで叩く。

これだけです。

これによって何が起きたかというと、アルバートは白ネズミを見ただけでおびえるようになりました。

ネズミに触ろうとすれば、大きな音が鳴ると学んだのです。

これが学習です。

さらに、実験の影響はそれだけにとどまりませんでした。

アルバートはその後、サンタクロースの白いひげも怖がるようになり、白ウサギも怖がるようになり……最終的には、毛むくじゃらのモノすべてを怖がるようになりました。

最初はネズミだけだったのが、どんどん範囲が広がっていきました。

これが汎化です。

この実験は、人道的観点からして、ひどいとしかいいようがありません。

しかし、この実験によって、人類に大きな進歩を与えたのもまた事実です。

汎化と学習が起きる

以上のことを踏まえると、こんなことが起きると予測できます。

  1. 仕事に行くときに同じ音楽を聴く。
  2. 次第にその曲では気分が変わらなくなる。
  3. その曲を聴いていると嫌な気持ちになる。
  4. その曲のアーティスト自体を嫌いになる。

なので、「嫌いなことから気を紛らわせるために音楽を聴いたりするのはどうかな?」と思います。

実際に僕が聞いた話では、毎朝めざましのアラーム音を星野源の曲にしていたら、星野源の曲が嫌いになったというケースもあるそうです。

出勤時に嫌な気持ちになるのなら、ノートに自分の気持ちを書き出すなど、音楽以外のすべを見つけておくと良いのではないでしょうか。

例えば、出勤できたらご褒美にコンビニでチョコを買うとかですかね。

ご褒美なら行動のモチベーションになりますし、今回語ったようなマイナスの効果が起きることはないと思います。

まあ、それはそれで別の問題が生じることになるのですが……

その別の問題については、明日の記事でお話します。それでは。