映画『タクシードライバー』あらすじ要約・ネタバレ感想
こんにちは。なめです。
最近「もっと物語に触れないとな……」と思い、映画を見るようにしています。
今は名前くらいは聞いたことあるという映画を手当たり次第に見ていってる最中です。
そんな中で、まず『タクシードライバー』という映画を見ました。
今回はその『タクシードライバー』について内容の要約と感想などをお届けします。
注意事項
この記事は『タクシードライバー』のネタバレを含みます。
内容のほとんどを明かすことになりますので、ご注意ください。
まぁずいぶん昔の映画ですしネタバレしたところでそれほどダメージのある作品ではない(これについては後ほど)ので、多分OKだと思います。
イヤな方は別の記事に飛んでいただいて……
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目次
内容要約
学のない人間の恐ろしさ
男性はストーカーになりやすい
目標の下がり方が童貞らしくて面白い
総評 すごい作品ではあるが、面白い作品ではない
内容要約
自称「元海兵」の青年トラヴィスがタクシーの会社に就職するところから物語は始まる。
仕事をこなしているうちに、客を通して世の中のことに目を向けるようになる。
治安の悪い街だけに、路上では売春や犯罪などがたやすく行われている。
そんな町に辟易しながら生活をしていると、ある日転機が訪れる。
天使。
そう、天使としか言いようのない女性に出会うのである。
彼女の名はベッツィ。
新聞社に勤めるジャーナリストだ。
トラヴィスは彼女の下に足しげく通い、ついに一緒に映画を見に行くまでの仲になった。
しかし世間知らずで学もないトラヴィスは、あろうことか彼女を連れてポルノ映画を見に行く。
当然、彼女はブチ切れて二度と連絡がつかなかった。
「なぜ連絡をよこさない!」と怒りに震えたトラヴィスは一念発起し、”何か”を始めようとする。
彼が選んだ”何か”とは大統領候補の暗殺だった。
着々と準備を進め、計画を実行に移すトラヴィス。
が、結局は失敗。
その場から逃亡したトラヴィスは売春の館へ直行。
売春婦の斡旋をしている男を射殺し、自らも瀕死の重傷を負うのだった。
その後トラヴィスは意識を回復し、新聞ではトラヴィスによって救われた売春婦の記事が掲載される。
彼は一躍、英雄と化した。
彼は今日も変わらず、タクシーを走らせている。
学のない人間の恐ろしさ
人はなぜ学ぶのでしょうか?
どうせ卒業したら使いもしないのに、数学とか、世界史とか、生きていく上で必要の無いものを勉強させられるのでしょう?
僕はその答えを「他人の思考を獲得するためではないか」と考えています。
つまり「こういう考え方をする人もいるんだ」というのを実際に体感して落とし込む為なのではないか、と思うのです。
以前にも書きましたが、人は「実際に自分がやる」という段にならないと、対象をよく観察しないものです。
知識がなければ、他人の視点を持つことができません。
それを痛感した出来事があります。
数年前まだコロナなんて言葉はUVERworldの曲名と言う認識しかしていなかった頃。
近所のファミレスでご飯を食べに来た時のことです。
注文を終えてぼーっとしていたら、隣の席から
「遅えんだよ!!」
という怒声が聞こえました。
振り返りはしなかったので、姿形はわかりません。
ただ、多分声的に50代くらいのおじさんだろうということはわかりました。
その人が
「注文してから何分またせんだ!!」
と怒鳴りちらし、店員さんはしきりに「申し訳ありません……」と謝っていました。
おじさんは持ってくるのが遅いから起こったのでしょう。
しかしファミレス等の客商売のバイトをしたことがあればわかりますが、それは店員さんのせいでは無いですよね。
その店員さんはテキパキと仕事をしていましたし、僕の目には何の問題もないように移りました。
出来上がった料理をすぐ持ってきてくれるので、問題があるとすればキッチンです。
ではなぜキッチンが滞っているかと言えば、それはその時間の客が多かったからで……
じゃあなんで客が多いかと言うとその近くにあるお店はそこしかないからで……
といったように、掘り下げて考えれば悪いのは(少なくともその場にいる中の)誰でもないのは明らかです。
しかしそういうバイトしたことのないであろう50代ぐらいのおっさんは怒鳴りちらしていました。
そんな場面に遭遇して僕は「ああ〜知らないって罪だなぁ……」と思いました。
学のない人間は何をしでかすか分かりません。
それは今上げたような「相手の立場とか感情を理解できない」のが理由でもあります。
が、それ以外にも致命的な理由があります。
それは「思慮が浅い」ということ。
自分の行動によってどういう結果が訪れるのか……というところまで考えが至らないのです。
先ほどのファミレスの例で言えば、あの場で警察を呼ばれてもおかしくありません。
そうなれば家族(もし居ればですが)に迷惑がかかります。
家族に迷惑がかかれば家庭内での地位も揺らぎ、下手すれば家を追い出される可能性だって考えられるのです。
それに、待たされるのがイヤなら、予約制の高級レストランに行けば済む話。
にもかかわらず、そうしなかったのはひとえにファミレスで安く済ませたかったからでしょう。
だったら持ち帰りで注文するとか、あるいはファミレスじゃなくてコンビニで弁当買うとか、屋利用はいくらでもあったはず。
ですが、彼はそのどれにもたどり着くことはありませんでした。
結果として現実になったのは、店員に対して理不尽に怒鳴りつけること。
これは普段から物事を考える習慣がないが故の悲劇でしょう。
やはり教育は重要なのだと気付かされました。
男性はストーカーになりやすい
愛情にはいくつかのパターンがあります。
その1つが純粋な愛とするならば、
それに続くのは独占欲、所有欲などです。
トラヴィスの場合は、この所有欲が暴走した典型的なストーカーと言えるでしょう。
しかし、彼は暴力的な事件を起こさず、踏みとどまることができました。
その点については良かったと思います。
(まぁ彼女は心の傷を負ったと思いますが……)
ちなみにトラヴィスのような典型的なストーカーから逃れる手段は「所有欲求を放棄させること」です。
具体的には相手の想像していないような行動をとるとかですね。
今回の場合ですと、めちゃくちゃビッチな格好してめちゃくちゃビッチの振る舞いをする、とか。
トラヴィスは彼女に対して天使、すなわち清楚なイメージを抱いていたのでそれとは真逆の振る舞いをすれば勝手に幻滅して興味を失います。
目標の下がり方が童貞らしくていい。
東大受けるぜ!と息巻いてたやつが実際には日東駒専受けてたみたいな感じですよね。
何かをなそうとしても、結局なす勇気がない。
行動できない。
(あるいは完遂できない)
この部分の描写が非常に童貞臭くてよかったです。
(主人公が実際に童貞かは不明)
僕は童貞モノが好きなのでそういう評価をしましたが、童貞モノが嫌いな方は逆の評価をするのではないでしょうか。
総評 すごい作品ではあるが、面白い作品ではない
そんな感じで、結構センシティブな内容も多く含まれ、見た後に「すごいものを見たな……」という充実感が残ります。
ただ、この作品が面白かったか?と問われれば、首をかしげざるを得ません。
というのも、この映画は驚くような展開があったり、気分が晴れるような要素があるわけではありません。
なので、この作品はエンタメではないと思います。
エンタメではないということは、楽しませるのが目的ではない、という事です。
先ほども書いたとおり、この作品を見ていて思うところは色々とありました。
気づいたこともあります。
なので、とても発見は多く、見た後に得るモノがある作品と言えるでしょう。
完全なる覚醒コンテンツです。
ただ、それにしては納得のいかない事もあったりします。
例えば、トラヴィスって結局死なないんですよね。
首を撃たれるんですが、それでも一命をとりとめるんですよ。
それが何というか……「マジで?」みたいな。
よく生きてたなという感じです。
それと最後のシーン。
ベッツィをタクシーに乗せて、ベッツィが「新聞記事読んだわ……」みたいなことを言って、なんか一目置いてるみたいなことになるんですが……
いや、なんねえだろ普通。
自分をストーキングしてた野蛮な男に対してなんでちょっとうっとりしてるんだよ。
そもそもトラヴィスも売春婦助けようとしたというより、
「やっべ……大統領候補殺せなかったし手近なところで済ませとくか……」みたいなノリでやったという部分が大きく見えてしまいます(もちろんアイリスを助けようとしての行動ではあるんですが)。
そのあたりが「童貞の妄想・特盛り」みたいな出来すぎ感があって、ちょっと好きになれなかったですね……。
(童貞のみっともなさを描くのは好きだが、童貞の妄想を見せられるのは嫌い)
とまぁ、良い部分・悪い部分色々とありますが全体的に見てとても良い作品だったと思います。
是非あなたも機会があれば見てみてください。
……まぁ見なくても問題はないですが。
関連
↑会話による交渉を有利に進めるにはどうすれば良いかがマンガで描かれています。
ゴルディロックス効果や確証バイアスなど、いわゆる雑学的な「心理学」について扱った本です。
普通にストーリーものの短編マンガとしてみても面白い作品ですので、ご興味があれば読んでみてください。
↑トラヴィスが読むべきだった本。
彼が軽率な行動に走ったのは物事をよく考えるクセがついてなかったからなのではないかなと思います。
メモを取ってよく考える事を学べば、ほとんどの人の人生は好転します。(若干宗教じみた言い回しですね)
彼の人生も例外なく好転したのではないでしょうか。
とはいえ、彼が活字の本を読めたとは思えませんが……。