覚醒コンテンツと麻酔コンテンツという考え方【アニメの見方】
結論「覚醒コンテンツとは現実の問題を想起させるコンテンツである」
「麻酔コンテンツとは現実の問題を忘却させるコンテンツである」
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過去記事
目次
覚醒コンテンツ・麻酔コンテンツとは
具体例、異世界転生のケース
覚醒コンテンツ版 異世界転生
時代に求められているのは麻酔?
苦みを出せば覚醒、消せば麻酔
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覚醒コンテンツ・麻酔コンテンツとは
山田玲司という漫画家が言いました。
「世の中のコンテンツには2種類ある。覚醒コンテンツと麻酔コンテンツだ」
詳しくは↓の動画にて
https://www.nicovideo.jp/watch/so26363596
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まあ暴論なんですが(覚醒でも麻酔でもない作品は存在するので)、とてもキャッチーでわかりやすいです。
あなたが今後作品を鑑賞する際の助けになる考え方だと思うので、今回はこの覚醒コンテンツ・麻酔コンテンツについてお話ししていきます。
動画内での定義を要約すると、「現実の問題を思い出させるのが覚醒」で「忘れさせるのが麻酔」です。
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具体例、異世界転生のケース
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具体例を挙げましょう。
最たる例は異世界転生系の話です。
アニメ化どころかマンガ化もしていない、それどころかPV数も200くらいの作品を思い浮かべて下さい。
- 現実世界で不遇だった主人公が死んで異世界に転生
- なんかボーナスとかでめっちゃすごいステータス
- なんの努力もなしに褒めそやされる
- モテまくり! 勝ちまくり!
- 幸せなハーレムを築いてエンド(たいていエタる)
このタイプの作品の特徴は一番最初に主人公が死ぬので、一番の不幸が最初に来ている事です。
ギャルゲでもエロゲでもそうですが、バッドエンドは主人公が死ぬ、というパターンが多いです。
当然です。主人公死んだら終わりですから。
しかし、異世界転生はこのバッドエンドを最初に通過しているので、あとは上がっていくしかないんです。
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異世界転生は一番最初に「主人公が死ぬ」という最悪の事象を見せているので、「後に起きるのはこれよりはマシな事ばかりだ」「これからは良くしかならない」という安心感を与える事もできます。
あと、これが一番大きいと思いますが、異世界転生は「読者の欲望を100%満たす」ように作られています。
わざわざなろうで小説読む人間なんて学校では居場所がなくて、彼女も居なければ女子にもてたこともない童貞だと思う(根拠:僕の人生)ので、ハーレムなんてモノは夢のまた夢。
そういう決して叶わない夢を見せてくれるからこそ、人々はそれに熱中するのではないでしょうか。
まあ僕はハーレムもクソだと思ってますが
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覚醒コンテンツ版 異世界転生
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では、その異世界転生を覚醒コンテンツにするにはどうすれば良いのでしょうか?
それは簡単な事で、「現実に近づければいい」のです。
例えば「透明人間になって風呂を覗きたい!」という願望があったとします。
これがなんの障害もなくかなうのが麻酔コンテンツです。
なので、ここに障害を加えてあげれば覚醒コンテンツに変化します。
たとえば以下
- 体は透明になったが、目も透明になったので何も見えない。(目は網膜に映った映像を見ているので、体中が透明になるということは光をとらえることができないという事でもある)
- のぞきに行った途中で効果が切れ、警察に捕まった
- 覗いていたら足を滑らせて落下し、下半身不随になった
これにより「現実は甘くない」という教訓を与えることができるようになります。
さらに、ここに社会的な問題やライフクライシス(人生に起きる悲劇的なイベント)的な問題を絡めれば、更に高尚な作品になるでしょう。
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時代に求められているのは麻酔?
ここまでの書き方では覚醒コンテンツの方が良いように思えるかも知れません。
しかし、一概にはそうも言い切れません。
覚醒コンテンツは、現実の問題を思い起こさせる素晴らしいコンテンツです。
ですが、そうやって思い起こした問題に向き合えるかは本人次第でしかないのです。
僕は学生でぬるま湯につかった状態だからこそ、それらの問題に立ち向かえています。
しかし、ブラック企業に勤めているなどの理由でまともに休むことさえできない人ならどうでしょうか。
そういう人が求めるのは厳しい現実でしょうか?
それとも一時の夢でしょうか?
現実を見ろ! といって問題を直視させることはできます。
ただ、それによって追い詰められ、最悪の場合自殺してしまう可能性だってあります。
そういう状況でも、果たして覚醒コンテンツこそが至高と言い切れるのでしょうか。
特に現代は過剰労働が問題になったり、とにかく人々に余裕がありません。
余裕がない人の心に必要なのは現実を思い出し立ち向かうことなのでしょうか?
それとも現実を忘れて、明日も生きる気にさせてくれることでしょうか?
この観点から、両者のどちらが優れているとは言いきれないません。
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苦みを出せば覚醒、消せば麻酔
ちなみにですが、僕は覚醒コンテンツが好きです。
麻酔コンテンツを見ているとむずがゆくなって来ます。
しかも、「こんなに上手く行くわけない」と思いながら見ることになるので、常に「こんなの嘘だよw」と作者に言われている気分になるのです。
(作品読んでる間だけは誰だって「これは本当に起こった出来事だ」と思って読むんですから、これは大きなノイズです)
なので僕は麻酔コンテンツだと判断した時点で見るのをやめています。
しかし、世の中の全員が覚醒コンテンツ好きというわけではありません。
場合によっては麻酔コンテンツを作らなければいけない場面にも遭遇するでしょう。
僕の思う覚醒コンテンツ・麻酔コンテンツの調整方法は「苦みを足すか減らすか」だと考えています。
先ほど上げた透明人間の例もそうですが、覚醒コンテンツ・麻酔コンテンツの塩梅は「受け手の願望をどれだけ叶え、どれだけ落とし前をつけさせるか」によってコントロールすることができます。
今後何かしらの作品を見る際、作る際にはぜひ、今回の内容を思い出してみてください。
では。
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歴代の記事
↑筆者的にはかなり気に入っているシリーズですので、未読の方はぜひ読んでみてくださいね♡