タイムホロウ〜奪われた過去を求めて〜 感想考察

基本情報

概要

感想

考察

まとめ

基本情報

Amazonより

タイムホロウ〜奪われた過去を求めて〜

ジャンル  過去修正アドベンチャー

対応機種  ニンテンドーDS

発売元  コナミデジタルエンタテインメント

開発元  テンキー

発売日  2008年3月19日

定価  5,229円(税込)

プレイ人数 1人

レーティング CERO:B(12歳以上対象)

ゲームカタログ@wiki〜名作からクソゲーまで〜より一部抜粋

概要

ジャンルの通り、過去修正アドベンチャーです。

ホロウペンと呼ばれる「過去に通じる穴」を描くことができるペンで過去を書き換えていきます。

ゲームの望ましい形とは、ゲームシステムとストーリー的なフレーバーが重なることとされています。

本作はタッチペンでの操作と主人公のペンによる動作がリンクしており、上記の要項を満たしていたように感じました。

本作は2008年発売とのこと。

DS自体は2004年に初代が発売。

そしてDS liteが2006年に発売。

DSが登場してからそこそこ経っての発売だったようですね。

私も当時小学生でしたが、このゲームのパッケージはどこかで見た記憶があります。

妹も見た記憶があるといっていたので、同世代でこのゲームを知っている人は多いのではないでしょうか。

ただ、私は

・主人公がペンを持っている

・パッケージイラストが若干似ている

・髪型が似ている

などの理由でホワイトコミックと混同していました。

Amazonより

同世代でこのように勘違いした人は多いのではないでしょうか。

多くはないですか。

そうですか。

感想

「面白くないことはないがオススメするほどではない」

wikiには「あらを気にしなければ楽しめる」とありました。

私もその言葉が本作を過不足なく言い表す文句だと思います。

タイムトラベル(≒タイムリープ)とは人類の悲願です。

それゆえ、タイムトラベルを題材とした作品は、よっぽど変なことをしなければそれなりの面白さは担保されます。

その点においては本作もある程度のクオリティを保てていると言えるでしょう。

が、それ以上の何かがあるわけでもないというのが正直なところ。

取り立てて「すごい!」というところはあまりないです。

その代わりに「これはちょっと……」という部分は多い。

具体的に気になった点をいくつか挙げると

・結局ホロウペンとは何だったのか?

・なぜホロウペンなんてモノが存在したのか?

・なぜ主人公一族がホロウペンを持っていたのか?

・なぜ敵対一族もホロウペンを持っていたのか?

・なぜ飼い猫に「フォ郎」、息子に「ホロウ(歩郎)」などと名付けたのか?

・色々と辻褄があわない箇所がある

・オチがショボい

といった感じ。

大部分の謎は放置され、矛盾点も多く取り残されます。

ただ、それらを除いても、やはりオチがショボいのは良くなかった気がします。

いや、ショボいのが良くないのではなく、あの形だったのが良くないというか……。

これについては考察で触れたいと思います。

考察

今回プレイしてみて、タイムトラベルモノにはいくつかのパターンがあるなと感じました。

大まかには以下の3つです。

1,タイムトラベルの原理が明かされ、その原理が物語の本筋に絡む

2,タイムトラベルの原理が明かされるが、その原理は物語の本筋に絡まない

3,タイムトラベルの原理は明かされず、物語の本筋にも絡まない

それぞれ、

1は「バックトゥザ・フューチャー」

2は「君の名は。

などがそうだとすると、

タイムホロウはまさしく3に当てはまる作品だったと思います。

(※物語の本筋に絡む、という表現が少し回りくどかったかも知れません。ここで意図していたのはつまり「その作品の主題が時間なのか人間なのか」という点です。バックトゥザ・フューチャーはを時間と人間」の両方を主題としていますが、君の名は。は「瀧と三葉の関係性がメインで、時間はあくまでも添え物であり、単なる舞台装置」という印象を受けます)

私の好みは1なので、その点も若干引っかかる要因です。

これはごく個人的かつ偏見に塗れた意見なので恐縮なのですが……

タイムマシンを扱う作品は、なるべくタイムマシンを破壊する方向に進まなければならないと思っています。

(この場合のタイムマシンとは「過去改変を可能にするガジェットやスキル」の総称です)

タイムマシンとは過去改変によって過去を書き換えます。

それは本作の「過去修正アドベンチャー」というジャンルの通り。

過去を書き換えるとはすなわち、あったはずの過去を無かったことにすることです。

それは、歴史修正主義やキャンセルカルチャー(書き換え前提の潔白要求)と近似したモノと言えます。

つまり、タイムマシンを登場させてタイムマシンを破壊、あるいは否定する方向にいかないというのは「歴史修正主義を間接的に肯定する」事になってしまいます。

作者側にそんな意図がなくとも、作品は本人の意図を超えて受け手側に届いてしまいます。

だからこそ、後始末に気をつけなくてはならない題材がタイムトラベルモノなのです。

本作ではタイムマシンを使用することのリスクは描かれていましたが、結局最後もタイムマシンを過去の自分に渡して終わりますからね。

しかも飼い猫を犠牲にして。

もちろん、「歴史修正主義がどうたらこうたら〜!」みたいないちゃもんのせいで作品の自由度が損なわれるのは良くないことだと思います。

なので、タイムホロウのような作品があってもいいとは思うのですが……

それにしてももう少し慎重に作るべきだったのではないかと感じました。

自分がタイムトラベルモノを作る時には気をつけようと思います。

それと主人公一族のモチーフは、どうしても日本とアメリカの関係や、日本と韓国の関係と重なって見えてしまいます。

つまり、日本に原爆を落とされたのは許し難いけれども、それは今(2020年代)のアメリカ人が悪いわけではない。

韓国が植民地化されていたのは気の毒だけれども、それは今(2020年代の)の日本人が悪いわけではない。

これは日本に限らず、世界の国々が抱えている問題と言えるでしょう。

日本よりもさらに複雑な歴史を抱えている国もあります。

本作において、主人公は敵にしつこく因縁をつけられます。

しかし、それは自分のせいというよりは自分の親世代やそのまた親世代の因縁に巻き込まれる形になります。

この構図から、どうしても世界的な歴史問題の隠喩っぽさを帯びてしまっているのですが……だからこそ結末の適当さはマズい。

単なる娯楽作とは言い切れない題材を選んでしまっているので、ある程度の社会的役割は果たすべきだったように思います。

まとめ

かなり「あら」の多い作品ではありますが、制作されたのがDS黎明期ですし、時期を思えば相応……あるいはそれ以上と言えるかも知れません。

タイムホロウは微妙な出来でしたが、タイムホロウのおかげで生み出された傑作もあるはずです。

個人的な楽しみとしては物足りなさを感じます。

しかし、ゲーム界の発展のことを思えば5000円という価格も決して無駄ではないでしょう。

なので私は、このゲームのメーカー小売価格について納得しています。

私はこのゲームを買ってよかった。

悔いなんてありません。

面白いとか面白くないとかよりも、もっと大事な何かを見せてもらったから……。

……っていうのは嘘!

本当は500円で買ったから!

私は中古で状態「良」のROMを500円で入手したのです。

だから何の不満もない。

500円相応の内容でした。

たしかに、もしもフルプライスで買っていたら私もキレていたかも知れません。

けどな、ジョニー。

俺はもしもの話なんてしないぜ。

なぜなら……タイムホロウと違って、現実の過去は書き換えられないからさ。

HAHAHA!

See you next!